レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「リディア,入るぞ」
よく聞き慣れた若い男性の声の後,不躾にドアを開けて入ってきた人物に,彼女は目を丸くした。
「デニス!?一体どうしたのよ?」
「よう,リディア。――いや,『姫様との婚約が公になったんだから,姫様の部屋に行ってこい!』って先輩兵士達に焚きつけられちまってさあ。もう参ったよ」
「まあ……」
照れ臭そうに頬をポリポリ掻く彼に,リディアは絶句した。それはつまり,夜這いをしに来たということだ。
(ああ,なんてこと……)
まだ婚約発表されてから数時間が経過しただけで,彼女は心構えができていないというのに。――ところが。
「んー,でもオレは今日は,お前に手出しするつもりはないんだ。そういうことは,初夜まで大事に取っておきたいからさ」
「初夜,ってねえ……」
よく聞き慣れた若い男性の声の後,不躾にドアを開けて入ってきた人物に,彼女は目を丸くした。
「デニス!?一体どうしたのよ?」
「よう,リディア。――いや,『姫様との婚約が公になったんだから,姫様の部屋に行ってこい!』って先輩兵士達に焚きつけられちまってさあ。もう参ったよ」
「まあ……」
照れ臭そうに頬をポリポリ掻く彼に,リディアは絶句した。それはつまり,夜這いをしに来たということだ。
(ああ,なんてこと……)
まだ婚約発表されてから数時間が経過しただけで,彼女は心構えができていないというのに。――ところが。
「んー,でもオレは今日は,お前に手出しするつもりはないんだ。そういうことは,初夜まで大事に取っておきたいからさ」
「初夜,ってねえ……」