レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「さっき,本人から聞いた。けど,内容までは教えてくれなかったからさ」
ブスッとしながらデニスは答える。それは自分がのけ者にされたことが面白くないからなのか,ジョンに嫉妬しているからなのか。
「どんな,って。彼の気持ちを,最後に確かめたの。今日を()がしたら,もう二度と話してもらえないと思って」
リディアはそこで一旦言葉を切り,ジョンが恋心を認めたことをデニスに話した。
「……で?お前はどうするんだ?」
「どうもしないわ。ジョンはこれから先も,わたしの大事な幼なじみで忠実な臣下。ただそれだけよ」
片眉を上げて問うデニスに,彼女は淡々(たんたん)と答える。冷たいようだが,他に言いようがないのだから仕方がない。
「あ,それとね。ジョンには軍の人事を打診(だしん)したの」
「軍の人事?」
(きつね)につままれたような顔で,デニスが訊ねた。
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