レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「ええ。昨夜あなたが下がった後にね,お父さまから頼まれたの。新皇帝として,軍の幹部を任命してほしいって。人選は任せる,って。でね,あなたにもジョンにも,それ相応の地位や役職を与えようと思ってるの」
「へえ……。で,ジョンにはどんな役職を与えようと思ってるんだ?」
デニスも興味(きょうみ)があるらしく,身を乗り出して質問してきた。
「それはまだ考え中だけど。あなたには,近衛軍団長をやってもらうつもりよ」
「はあ!?なんでオレが」
デニスの声が大きくなる。今は夜中だ。これでは近所迷惑……もとい城内迷惑になってしまう。
「しっ!声が大きいわよ!……これは,お父さまのご希望でもあるのよ。皇帝の夫になるんだから,あなたにも相応の役職を与えるべきだってね。受けてくれるでしょう?」
リディアは彼をたしなめてから,声をひそめて理由を説明し,意志確認をした。
「もちろん,受けさせてもらいます」
デニスは快諾した。が,こんなに軽い調子でいいのだろうか?
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