レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「他に,決めなきゃならない役職ってどんなのがあるんだ?」
「そうねえ。軍は今,将軍不在でしょう?だから,まずはそれね。そうなると,(ふく)将軍も新しく決めなきゃいけないわ。他は,留任(りゅうにん)でいいんじゃないかしら」
人選は全面的にリディアに任されているのだ。なら,いま現在任に()いている人物を据え置く,というのもアリなのではないだろうか。
「で,まずは将軍よ。あなたのお父様のガルシアどのか,ジョンのお父様のステファンどのかで迷っているんだけど。あなたはどう思う?」
義理で選ぶなら皇帝の義父となるガルシアで,実力で選ぶなら統率(とうそつ)力に優れたステファンとなる。
「うーん……,オレなら父さんじゃなく,ステファン様を選ぶかな。バイラル家は代々,エルヴァ―ト一族に仕える名家だし。父さんが将軍になったら,『"皇帝の婿(オレ)の父親"っていう立場を忖度(そんたく)した』って思われるだろうし」
まあ,息子の立場なら,自分の父親が「お情けで将軍にしてもらったのだ」と言われることが我慢ならないのだろう。
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