レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
民衆の歓声に手を上げて答える新皇帝リディアは,感無量だった。
亡き母の形見である婚礼衣装に袖を通し,最愛の人と一緒に愛する母国の君主になれた喜びは,何物にもかえ難い。
「国民の皆様,ありがとうございます。わたしは必ず,あなた方との約束を果たします。ここにいる夫デニスと共に,この帝国を永劫栄え続ける豊かな国にして参ります!」
声高に宣言する彼女を,再び人々の拍手と歓声が包む。
隣りに立つ礼装姿のデニスも,今日は主役の一人なので誇らしげだ。
「オレと二人じゃないだろ?」
彼がリディアの耳元でそっと囁いた。
「そうでした。ジョンも一緒よね」
頷くリディア。彼ら親子にも,色々と協力してもらわなければ。
「――そういえば,スラバットのカルロス国王から,祝福の手紙が届いていたのよ」
「へえ……。何て書かれてた?」
彼がこの国に来訪した時には,「リディアを狙ってきた」と一方的に敵視していたデニスだが,彼の大変な境遇を理解してからはそうも言っていられなくなり,嫉妬の感情などどこかへ行ってしまった。
亡き母の形見である婚礼衣装に袖を通し,最愛の人と一緒に愛する母国の君主になれた喜びは,何物にもかえ難い。
「国民の皆様,ありがとうございます。わたしは必ず,あなた方との約束を果たします。ここにいる夫デニスと共に,この帝国を永劫栄え続ける豊かな国にして参ります!」
声高に宣言する彼女を,再び人々の拍手と歓声が包む。
隣りに立つ礼装姿のデニスも,今日は主役の一人なので誇らしげだ。
「オレと二人じゃないだろ?」
彼がリディアの耳元でそっと囁いた。
「そうでした。ジョンも一緒よね」
頷くリディア。彼ら親子にも,色々と協力してもらわなければ。
「――そういえば,スラバットのカルロス国王から,祝福の手紙が届いていたのよ」
「へえ……。何て書かれてた?」
彼がこの国に来訪した時には,「リディアを狙ってきた」と一方的に敵視していたデニスだが,彼の大変な境遇を理解してからはそうも言っていられなくなり,嫉妬の感情などどこかへ行ってしまった。