レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
レムルにあるレーセル城から二時間ほど馬を走らせ,標高がそれほど高くない丘の頂上にさしかかると,そこからシェスタの港が見えた。町まではあと数分というところ。
「――ところでデニス。あなたが『シェスタに行こう』って言った理由,そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
馬を降り,手綱を引きながら丘を下る途中で,リディアが言った。何となく分かってはいるけれど,やっぱり思い立った本人から直接聞きたいと思う。
「俺も聞きたい。『今回の旅は理由アリ』ってどういうことなんだ?」
ジョンも彼女に同意した。出発前にデニスが,「それは後で話す」と言っていたことを覚えていたからである。
「――実は今日の午後,プレナからの使者が城を訪ねて来てたんだよ。国の中で,荒くれ者達がのさばってる,って。そうだったな,リディア?」
「ええ。その対処のために,帝国の力を貸してほしい,という話だったわ」
デニスに念を押され,リディアは頷いた。ついでに補足もしておく。
「ああ,なるほど。……で?」
「シェスタとプレナは,目と鼻の先だ。それに,あの町にはプレナからの移住者も多い。だから,何か情報が仕入れられるかもしれないと思ってな」
「――ところでデニス。あなたが『シェスタに行こう』って言った理由,そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
馬を降り,手綱を引きながら丘を下る途中で,リディアが言った。何となく分かってはいるけれど,やっぱり思い立った本人から直接聞きたいと思う。
「俺も聞きたい。『今回の旅は理由アリ』ってどういうことなんだ?」
ジョンも彼女に同意した。出発前にデニスが,「それは後で話す」と言っていたことを覚えていたからである。
「――実は今日の午後,プレナからの使者が城を訪ねて来てたんだよ。国の中で,荒くれ者達がのさばってる,って。そうだったな,リディア?」
「ええ。その対処のために,帝国の力を貸してほしい,という話だったわ」
デニスに念を押され,リディアは頷いた。ついでに補足もしておく。
「ああ,なるほど。……で?」
「シェスタとプレナは,目と鼻の先だ。それに,あの町にはプレナからの移住者も多い。だから,何か情報が仕入れられるかもしれないと思ってな」