レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「じゃあジョン、頼んだぞ!」
ジョンが頷いたので,デニスはさっさと宿探しに言ってしまった。
「「……………………」」
リディアとジョンが二人っきりになることはほとんどないので,二人の間には
気まずい空気が流れていた。――いや,この日はいつもに増して気まずかった。
(んもう!デニスがあんなこと言うから)
ジョンのことをどう思うか,なんて!あんなことを言われたら,意識しない方がムリというものだ。
(わたしが好きなのは,デニスの方なのに)
ジョンのことだって,何とも思っていないわけではない。彼もデニスと同じく,大切な幼なじみだ。それは決して変わらない。けれど。
彼が自分のことを「姫様」と呼ぶようになった頃から,彼と自分の間に越えられることのない線が引かれているのだと,リディアは思うようになったのだ。もう,昔のような関係に戻ることはないのだと。
――悲愴感に浸っていたリディアが,再び左側をチラッと見遣ると……。
「あら?ジョンがいないわ」
彼が乗ってきた馬だけがそこにいて,肝心のジョンの姿が忽然と消えていた。
ジョンが頷いたので,デニスはさっさと宿探しに言ってしまった。
「「……………………」」
リディアとジョンが二人っきりになることはほとんどないので,二人の間には
気まずい空気が流れていた。――いや,この日はいつもに増して気まずかった。
(んもう!デニスがあんなこと言うから)
ジョンのことをどう思うか,なんて!あんなことを言われたら,意識しない方がムリというものだ。
(わたしが好きなのは,デニスの方なのに)
ジョンのことだって,何とも思っていないわけではない。彼もデニスと同じく,大切な幼なじみだ。それは決して変わらない。けれど。
彼が自分のことを「姫様」と呼ぶようになった頃から,彼と自分の間に越えられることのない線が引かれているのだと,リディアは思うようになったのだ。もう,昔のような関係に戻ることはないのだと。
――悲愴感に浸っていたリディアが,再び左側をチラッと見遣ると……。
「あら?ジョンがいないわ」
彼が乗ってきた馬だけがそこにいて,肝心のジョンの姿が忽然と消えていた。