俺様専務に目をつけられました。
四月一日入社式の後、一週間本社勤務の新入社員十六名の新人研修が行われた。
そして今日、配属先が発表される。

「おはよ、晴香。ドキドキするね、どこに配属されるんだろ。私営業がいいなー。」

「おはよ。瑠奈はバリキャリ志望だっけ。私はどこでもいいけど営業はむりー。」

「確かに。晴香はマネージャー的なみんなのサポートが似合ってそうね。」

彼女は高瀬瑠奈。入社式で隣の席になって以来気が合いすごく仲良くなった。マイペースな私とは真逆でリーダーシップを取れそうなくらい見た目に反しパワフルな人である。


「みなさん、おはようございます。昨日で一週間の研修も終わり今日からはそれぞれの配属先に別れそこで・・・・」


人事部長の長ーいお話しが始まった。どうしてこう上に立つ人達の話は長いのだろう。小中高の時も校長先生の話が長く夏場なんかは倒れる子もいたっけなー、とか全く関係のない事を考えているうちに人事部長の話は終わり配属先の発表に移っていた。


「浅田息吹、国内営業部 営業一課。」
「はい。」
「飯田悠斗、海外事業部 第一課。」
「はい。」

『おーっ』とみんなから思わず声が上がった。海外事業部はいわばエリート集団、花形部署である。研修の時から一歩先に出ていた彼はやっぱりエリートだったとまた思考していると瑠奈の名前が呼ばれた。

「高瀬瑠奈、国内営業部 営業二課。」
「はい。」

返事をした瑠奈の声は希望通りの営業課配属で弾んでいた。
そしてついに私の番だ。

「三栗晴香、総務部 総務課。」
「はい。」

うーん、総務部総務課か。研修を受け各部の仕事内容を習ったが、いまいち何をしていると答えにくい部署だな。だって営業は名の通り営業で、総務部の中でも秘書課は秘書や受付嬢でしょ?経理や人事だって何となくわかる。
総務課・・・、私の中では何でも屋さんって感じだな。

秘書検や簿記を持っていても、それを必要とする課には配属にならなかったな。まあ私にお似合いの課のような気がするけどね。
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