俺様専務に目をつけられました。
案の定、花火会場は人でいっぱいだった。早めに着いたので打ち上げまで時間がある。屋台を見ながら時間をつぶしながら途中で食べ物を買って少し離れた場所まで移動し、打ち上げ時間になるのを待った。

ヒュー、ドーン

花火の打ち上げが始まった。いつ見ても打ち上げ花火ってキレイな。

「花火をこんな風に見るの初めてだな。」

「えっ、打ち上げ花火見たことないんですか?」

「いや、ある。こんな風に屋台で買ったものを食べながら見るのが初めて。」

花火大会ってこんな感じじゃないの?有料の特等席がある所もあるが、そこでだって屋台の物を持ち込めるし。

「いつもは、どんな感じだったんですか?」

「ん?花火が見えるレストランやホテルから見てた。花火の季節って暑いだろ?だから暑いのは嫌だって、でも花火は見たいってヤツばっかだったからな。」

・・・。
高級デートなんていらない、むしろ今までの女性たちと同じ扱いをされたら誘われても絶対に拒否してると思う。なのに他の女性と比べられたような感じがしてムカついた。

「どうした?」

「べつに?やっぱり花火ってキレイですね。何年ぶりかなー、花火見に来たの。」

ちょっとムカついてたから独り言のように返した。

「誰と行ったんだ?」

「えっ?」

何気に答えた言葉に専務の機嫌が急に悪くなった。

「友達とですけど?十人近くいたから迷子は出るわ大変でしたよ。祭りの最中って周りがうるさいから電話かけても気づかないし。」

「そうか・・・。美味いな、屋台の焼きそば。」

あっ、話をそらした。
もしかしてデートで行ったと思って嫉妬した?

そんなわけないか・・・。
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