俺様専務に目をつけられました。
~享祐side~
また今日も雷が鳴りだした。
まだ近くで鳴ってないし、あいつも大丈夫かな。
あの雷が隣のビルに落ちた時以来、雷が鳴りだすとまた怖がっているんじゃないかと晴香の事が気になってしょうがない。
「専務、手が止まってますよ。」
俺の考えがお見通しなのか必ず圭吾が冷やかしてくる。
「わかってるよ。」
「しかし享祐がたった一人の女の事を気にかけるようになるとはね。」
そんなやり取りをしていると急に電気が消えた。
「停電か?」
「そうみたいですね。」
圭吾が確認したところ変電所に落雷し、この一帯が停電になっていると言う。復旧にも暫く時間がかかるだろう。秘書課まで降り指示を出した。
「全部署の確認をするぞ。社員全員の所在確認をさせろ。エレベーターが止まって中に閉じ込められてたら大変だからな。PCは・・・、電気戻らないと状況確認はムリか。とりあえず急げ。」
指示を出して四十分ほどで全部署からの報告が上がった。営業で外にいる者も含め所在確認は終了、PCは明日朝一番で確認する事にし、終わった部署から順に帰宅させた。
晴香も怖がっているだろう。【今日は送って行くか】そう思い総務部のある六階へ降りた。
総務部を除けば総務部長と課長、そしてなぜか海外事業部の飯田が慌てていた。
「なんだ、どうした。トラブルか?」
「あっ、専務!」
「いや・・・。」
部長と課長の態度がおかしい。
「三栗の所在が分かりません。」
何も言わない二人の横から飯田がとんでもない事を言った。
今、晴香がどこにいるのか分からないって言ったか?
「はっ?さっき総務全員の確認は済んだって言ってたよな。」
怒りがこみ上げてきたが何とかこらえた。
「午後から海外事業部の方で作業をしていたので、そちらで確認できていると思っていました。」
「でっ、なんで今になってわかった?」
「三栗の忘れ物を届けに来たら、まだ戻っていないと言われて。あいつ停電の少し前に戻ったんです。」
飯田が晴香の事を『あいつ』と呼んだことに嫉妬を覚えたが今はそれどころではない。何処にも所属してない状態の時に停電になったのか。
守衛室でエレベーターの確認に行っていた圭吾が戻って来た。
「一基はちょうど一階に停まっていて、もう一基は途中で停まっているようですが非常ボタンで呼びかけても反応はないらしいので、誰も乗っていないかと思われます。」
エレベーターに閉じ込められたんじゃない、よかった。
じゃあ晴香はどこにいる?
「飯田、お前ここまでは階段で来たんだよな。」
「はい。」
「あいつ、いなかったのか?」
「はい。降りてくる人はいましたが三栗はいませんでした。」
「専務?三栗さんいないんですか?」
「ああ。」
その時、胸ポケットに入れたスマホが鳴りだした。
また今日も雷が鳴りだした。
まだ近くで鳴ってないし、あいつも大丈夫かな。
あの雷が隣のビルに落ちた時以来、雷が鳴りだすとまた怖がっているんじゃないかと晴香の事が気になってしょうがない。
「専務、手が止まってますよ。」
俺の考えがお見通しなのか必ず圭吾が冷やかしてくる。
「わかってるよ。」
「しかし享祐がたった一人の女の事を気にかけるようになるとはね。」
そんなやり取りをしていると急に電気が消えた。
「停電か?」
「そうみたいですね。」
圭吾が確認したところ変電所に落雷し、この一帯が停電になっていると言う。復旧にも暫く時間がかかるだろう。秘書課まで降り指示を出した。
「全部署の確認をするぞ。社員全員の所在確認をさせろ。エレベーターが止まって中に閉じ込められてたら大変だからな。PCは・・・、電気戻らないと状況確認はムリか。とりあえず急げ。」
指示を出して四十分ほどで全部署からの報告が上がった。営業で外にいる者も含め所在確認は終了、PCは明日朝一番で確認する事にし、終わった部署から順に帰宅させた。
晴香も怖がっているだろう。【今日は送って行くか】そう思い総務部のある六階へ降りた。
総務部を除けば総務部長と課長、そしてなぜか海外事業部の飯田が慌てていた。
「なんだ、どうした。トラブルか?」
「あっ、専務!」
「いや・・・。」
部長と課長の態度がおかしい。
「三栗の所在が分かりません。」
何も言わない二人の横から飯田がとんでもない事を言った。
今、晴香がどこにいるのか分からないって言ったか?
「はっ?さっき総務全員の確認は済んだって言ってたよな。」
怒りがこみ上げてきたが何とかこらえた。
「午後から海外事業部の方で作業をしていたので、そちらで確認できていると思っていました。」
「でっ、なんで今になってわかった?」
「三栗の忘れ物を届けに来たら、まだ戻っていないと言われて。あいつ停電の少し前に戻ったんです。」
飯田が晴香の事を『あいつ』と呼んだことに嫉妬を覚えたが今はそれどころではない。何処にも所属してない状態の時に停電になったのか。
守衛室でエレベーターの確認に行っていた圭吾が戻って来た。
「一基はちょうど一階に停まっていて、もう一基は途中で停まっているようですが非常ボタンで呼びかけても反応はないらしいので、誰も乗っていないかと思われます。」
エレベーターに閉じ込められたんじゃない、よかった。
じゃあ晴香はどこにいる?
「飯田、お前ここまでは階段で来たんだよな。」
「はい。」
「あいつ、いなかったのか?」
「はい。降りてくる人はいましたが三栗はいませんでした。」
「専務?三栗さんいないんですか?」
「ああ。」
その時、胸ポケットに入れたスマホが鳴りだした。