俺様専務に目をつけられました。
会社の前を通り過ぎ大阪駅のすぐ近くのとっても立派な建物の地下駐車場へ車は入って行く。

「着いたぞ。」

専務は買い物をした荷物を片腕に抱え、もう片方の手は私を逃がさないとでも言うようにしっかりと握りエレベーターへ乗り込んだ。一階で一度降りロビーへ向かうとそこは高級ホテルの受付のようでコンシェルジュカウンターがあった。

「東郷様お帰りなさいませ。ご注文の品は後十五分ほどで届くと思います。」

「ありがとう。届いたら部屋までお願いします。それと婚約者の三栗晴香です。これからここに出入りする事も増えると思うのでよろしく。」

「かしこまりました。三栗様よろしくお願いいたします。」

「いえ、こちらこそよろしくお願いします。」

挨拶を終えると別のエレベーターに乗り込んだ。
このタワーマンション、五十階建てくらいだと思うんだけどボタンが一階と二階、四十九階の三種類しかない。

「享くん、このエレベーターは四十九階の住民専用なんですか?」

「そう。エレベーターだけじゃなくあのロビーも駐車場も四十九階の住民専用。」

「でも他にも住居ありますよね?」

「あるよ。三階から四十八階までのロビーとエレベーターは反対側にある。だからこのエレベーターに乗れるのはこのキーを持つ住民とコンシェルジュ、そして下のカウンターで確認が取れた来客だけ。さっき晴香のこと紹介したから、これでお前が一人でうちに来ても止められずに入って来れるぞ。」

そうなんだ、だからコンシェルジュさんにわざわざ紹介したのか。

って、私完全に全てをすんなり受け入れちゃってる・・・。
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