俺様専務に目をつけられました。
リビングに入ると正面は大阪の夜景が広がっていた。

「うわー!享くん毎日こんなにいい景色見てるんですか!」

「んー、毎日は見てないな。と言うかほとんど。」

「えっ?ここ自宅ですよね。別荘?違う所にいつもは帰るんですか?もったいない。」

「いや、出張以外は毎日ここに帰って来てる。でも夜景を楽しむことはほぼ無いな。一人で見てても楽しくないやろ。」

そんなもんなんだろうか。私なら毎日何時間でも見ていられるような気がする。
確か前にテレビで女の人は夜景を何時間でも見ていられるが、男の人は長く見ていられない人が多いって言ってたような。でも夜景見ないんだったら、こんなタワーマンションじゃなくていいんじゃないかな。


「晴香が一緒だと夜景も楽しめる。だからいつでも来いよ。」

後ろから抱きしめられ耳元で囁かれた。
何だか専務が今日は甘い、これは溺愛と言っていい甘さではなかろうか。
私はまた真っ赤になって返事も出来ずにいた。するとピンポンと玄関のチャイムが鳴った。

「おっ、時間通りだな。」

そう言いながら玄関へ向かった専務、『セッティングも頼む』玄関の方から聞こえた。
先程のコンシェルジュさんと店の人がリビングに入って来て、テキパキとテーブルの上に料理をセッティングしていく。五分とかからずテーブルの上に並べられた料理とワイン。

「晴香、お腹空いたろ?食べよう。」

二人では大きすぎるテーブルに向かい合って座りワインで乾杯をする。

「享くん、お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

ワインも料理もとても美味しかった。私の中のデリバリーの概念が変わった。
食事も終わり片付けようと席を立つと『晴香はいいから』とソファーに座らされた。そして専務がインターホンでコンシェルジュさんに連絡を入れると直ぐに来てくれた。用意された時と変わらず五分ほどでキレイに片づけ終わるとコンシェルジュさんは帰って行った。
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