俺様専務に目をつけられました。

14.

誕生日の翌週、約束通り家でケーキを焼き、途中スーパーで夕飯の買い物をし専務のマンションへやって来た。

「三栗様、お帰りなさいませ。」

マンションのロビーに入るとコンシェルジュさんが挨拶してくれた。この前の方と違うのに凄い、もう私の顔を全員覚えてるんだ。確かこのVIPロビーには6人の専属コンシェルジュさんがいて昼2人、夜2人の体制でローテーション組んで常駐してるって言ってたっけ。

「こんにちは。」

ぎこちなかったがコンシェルジュさんに挨拶を済ませエレベーターの前までやって来た。
直ぐにエレベーターは来たのだが足が動かない。

「三栗様どうかされましたか?」

エレベーターが来たのに一向に乗り込まない私が不思議だったんだろう。

「あの、お忙しいと思うんですが・・・、一緒に上まで行ってもらえませんか?」

「かしこまりました。ではどうぞ。」

コンシェルジュさんは嫌な顔一つせず一緒に来てくれた。たぶん使い方が分からないと思われたのだと思う。

「ホントにすみません。先月の大停電の時に一人でエレベーターに閉じ込められてしまって、それから一人で乗るのが怖くって。」

「そうでしたか。下に降りられる時はいつでも呼んで下さい。お迎えに上がりますので。」

「ありがとうございます。どうしてもダメな時はお声かけさせて頂きます。」

「はい。いつでも遠慮なくお申し付け下さい。」

私を四十九階で降ろすとコンシェルジュさんはそのまま下に降りて行った。小さい子じゃあるまいしホント申し訳ない。たぶんこれでコンシェルジュさん達の三栗晴香リストには(一人でエレベーターに乗れないので付き添い必要)なんて項目が追加されたんだろうな。
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