俺様専務に目をつけられました。
その後も色々と話を聞いた。佐伯が晴香に愛人だとしても認めないだとか言ったらしい。

「享祐君、これを。」

茂三さんから渡された封筒の中には俺がクリスマスに贈ったピアス、そして家のカギが入っていた。本当に晴香は別れるつもりらしい。

「ちゃんと問題を解決して、もう一度あの子に渡してやって欲しい。それでいいな幸生。」

「きれいに全て話が解決しなければ会わせる気はない。」

「ありがとうございます。必ず解決して晴香に会いに行きます。」

これがラストチャンス。失敗すれば晴香を失う。
パーティーまであと六日。






月曜、出社してきた圭吾に昨晩のことを話した。

「うわー、引くわー。佐伯さん必死だな。もうお前降参する?」

「あほか!圭吾には悪いが辞める覚悟で親父と話をしようと思う。」

「わかった。お前が辞めるなら俺も辞める。まあ俺も色々と動いてはみるけど。最悪本当に辞めるなら一緒に会社興そうなー。お前となら成功する未来しか見えないし。」

おちょけたように言ってくれる親友が頼もしかった。

「フェアの報告もあるし社長室行ってくるわ。まず親父がどう出るか見てくる。」



パーティー前日まで親父に佐伯との結婚を白紙にするよう説得したが変わらなかった。
東郷商事を継ぐため子供の頃から努力してきたが無駄になってしまったな。
俺の決意を伝えるため爺さんの所に向かった。

「爺ちゃん、わるい。親父が明日も聞き入れてくれないようだったら俺、東郷辞める。ごめんな、こんな事になって。でも晴香と別れて佐伯と結婚なんて考えらんないし。親父のこと、爺ちゃんと同じくらい尊敬してたのにな・・・。ごめん。」

「享祐、そこまで想える相手が出来て良かったの。爺ちゃんも今回位は完全にアイツが悪いと思う。会社を成長させることに必死になって京子さんと出会った時の事も忘れてしまったか。東郷の事は気にするな。おまえは晴ちゃんを幸せにしてやれ。わしも早く茂ちゃんとランチに行けるように戻りたいの。」

爺ちゃんの言葉はありがたかった。
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