俺様専務に目をつけられました。
ロビーで受けた衝撃を忘れたくて午後からの仕事に精を出していた。
と言っても私にはまだ特別な仕事はなく、みんなのお手伝い。


「三栗ちゃん、これ海外事業部まで持って行ってくれる?」

はい喜んで!と思い、これと言われた物を見た。
コピー用紙1箱と何が入っているのか分からない紙袋一つ。重そっ。

「急ぎでって連絡なんだけど持てる?台車も出払っててないんだけど。」

「はい。たぶん大丈夫です。誰に渡せばいいですか?」

そう言いながら腕に紙袋の持ち手を通し、箱を抱えた。
重っ!

八階建てのこの自社ビル、一階はテナントが入っていて二階と三階が国内営業部、四階に海外事業部と企画部、五階が会議室と資料室、六階が総務部と倉庫、七階に人事部と秘書課、そして八階は社長・会長などの役員室と応接室となっている。

重い箱は一旦降ろせば持ち上げるのが大変だ、肘を使い何とかエレベーターの ↓ ボタンを押した。エレベーターは直ぐに到着し扉が開いた。

よかったー。でも階数ボタンはさすがに肘では押せないし一旦降ろすしかないかと思っていると後頭部頭上から声がした。

「何階だ?」

ボタン押してくれるのか、ラッキー!

「四階です。」

その人は『海外事業部と企画部どっちに行くんだ?』と言いながら四階ボタンを押してくれた。

「ありがとうございます。海外事業部です。」

そう私が答え終わらないうちに『誰か男手は無かったのか?』と言いながら箱をもってくれた。
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