俺様専務に目をつけられました。
私たちを見るとソファーから立ち上がり『今回は本当に申し訳なかった』と頭を下げられた。

「えっ、いや、あの、頭を上げて下さい。気にしてませんから。」

「いや、気にしてるだろう。だから黙って俺の前から消えようとしたんだろ?」

いや、だってお義父さんの前に社長ですよ、目の前で頭を下げてる人。そんな人に私みたいなペーペー社員が頭を下げられて普通に出来ないよ。

「ホントにごめんなさいね。享祐も無理やり結婚させられるなら家を出るって言ってたけど、私も家を出るつもりだったのよねー。」

「「「えっ!!」」」

なぜ、このタイミングでそんな暴露した!てか専務も会長も知らなかったの?

「お袋、そんなこと考えてたのかよ。」

「この人の頑固さはわかってたからずっと黙ってたけど、享祐を犠牲にするような人とは一緒にいたくないもの。あなたが辞表を出して帰った後すぐに離婚届を渡したわよ。」

か弱そうに見えてお義母さん最強?それにしても今この二人を前にした社長は社での貫禄ゼロだ・・・。

「あの、いろいろと報告する事もあるので・・・。」

「あっ、そうだった。爺ちゃんたちに明日証人になってもらって婚姻届け出してくるから。晴香のお腹に赤ちゃんがいるんだ。だから一日でも早く結婚しようと思って。」

いやいや、もうちょっと順序を追って話しようよ。ほら三人ともビックリして固まって・・・、無い人が一人いた!目をキラキラ輝かせどう見てもワクワクしてる人が!

「うそー!ねえ今何か月?赤ちゃんのもの色々と準備しないと!」

「京子?」

わかります社長、その『どうしたんだ?そのテンション』って感じですよね。

「だって孫よ!享祐が結婚して娘が出来るだけで嬉しいのに、孫まで!晴香さん、うーん、晴ちゃん一緒にショッピング行きましょうねー。」

「あっ、・・・はい。」

その後は楽しく食事をし帰りぎわ『晴香さん、ホントにすまなかったね。享祐をよろしく頼むよ。』と社長からもちゃんと認めてもらえた。
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