夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「……マオ様?っ……大丈夫ですか?」

「っ、大丈夫です。ちょっと、夢を見たんですっ」

心配そうな表情を浮かべるミネアさんに、僕は素直にそう答えて微笑った。

不思議だ。
泣いていたのに、悲しいのではなく何故か心が暖かい。
さっき見たあの夢は、僕がこれから作りたいと願っている家族の形なんだろうか?
そう思ったら、自然とミネアさんの膨らんだお腹に視線がいった。

「お腹、触ってもいいですか?」

「えっ?……は、はい」

冷たくないよう自分の首元で手を温めて、僕はそっと彼女のお腹に触れた。
するとその瞬間、くにゅっと穏やかに波打つような感触を手から感じて、「えっ?」と僕が驚いて見つめると、ミネアさんがクスクスと微笑った。

「動きましたわね。いつもは静かなのに……。
この子はきっと、マオ様の事が大好きなんですわ」

「っ……そ、そうなん、ですかね?」

ぱぱの事が大好きなのねーー。
夢の中と同じような事を言われて、嬉しいような恥ずかしいような、そんな気持ちになった。
< 101 / 338 >

この作品をシェア

pagetop