夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
ここで生活をして、私の為にアラン様が変わろうとしてくれているのが目に見えて分かった。
婚約者でありながら、キスも、それ以上も強制してこなければ、必要以上に私に触れたりもしない。
私が生活しやすいよう考えてくれて、今だって……私の気持ちを優先に考えてくれていた。
こんなに私を大切に想ってくれている人を不幸にしたら、きっとバチが当たるわ。
そう思って、挙式をキッカケに私も色々とアラン様にしてあげられる事を決断しなくては……。と思っていた。
……しかし、その矢先。
ピリッ、ピリリリリーーッ……!
「!……すまない。
……はい。どうした?何かあったのか?」
突然鳴ったアラン様のポケ電。
仕事の話かと思い、席を外そうと部屋を出て行こうと思った……けど。
「!っ……なにッ?兄上がッ……?!」
「!!……えっ?」
アラン様の"兄上"という言葉に、足が止まる。思わず目を向けると、その表情からは"ただ事ではない"という焦りの色が見えた。
例え離れていても、同じ世界で生きているという事だけで頑張ろうと思えた。
でも、神様は私と彼が同じ世界に生きる事さえ、許してはくれないのだろうか……?