夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「アカリ様、その猫のぬいぐるみ。もしかして、前の旦那様に頂いたのではありませんか?」
「え?っ……どう、して?」
私の質問に、涙に濡れたアカリ様の瞳が大きく見開かれ、"やっぱり"と思った。
ぬいぐるみに視線を移して、改めて確証する。
私が教えて一緒に作った際の生地とは違うけれど、それは間違いなく……。
「恐れながら、私が作り方を教えたのです」
「えっ?」
「私がマオ様に、ぬいぐるみの作り方をお教えしました」
今も忘れられないあの日々を思い出す。
そして、あの時のマオ様を思い出して、納得する。
アカリ様が、マオ様の言っていた愛おしい方なのだ、と……。
それから、アカリ様もマオ様の事を……。きっと、今もお慕いしているのだ、と。
おそらく、お二人は想い合いながらもなんらかの事情があり別れてしまったのだ。
それが、私がずっと違和感を感じていた"何故マオ様はミネア様をお選びになったのか?"という疑問の答えに繋がると感じる。
そう思ったら、今まで府に落ちなかった胸のつかえがストンッとなくなった。