夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「もう4年程前になります。私はアラン様の仕事の手伝いをする為にこちらに滞在されたマオ様の、専属の使用人をしておりました」
私は当時の事を、包み隠さずアカリ様に話した。このお邸でのマオ様との日々や生活の様子。
そして……。
「身の程を弁えろ、と思われると思いますが、私はマオ様をお慕い申し上げておりました」
こんな事を言って何になる?
……分からないが、今の自分がアカリ様にするべき事はこれしかないと思った。
アカリ様に、マオ様の事を話してあげる事。
「けれど、あっさりとフラれてしまいました。とても幸せそうな表情で、マオ様おっしゃったのですよ?
"彼女以外、愛せない"、"俺の夢を叶えられる、唯一の人"……だと」
私がそう告げると、アカリ様の瞳からまた溜まった涙が溢れて、頬をつたり落ちた。
私は今、アラン邸の使用人として間違った事をしているのかも知れない。
でも、マオ様とアカリ様。この広い世界で、その想い合う二人に専属の使用人として巡り会えたこの運命のような出来事を、黙って見過ごす事は出来なかった。