夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

このままで、本当にいいのかーー?

そう思った瞬間。

「……っ、……ん」

「!……兄、上?」

兄上が、薄っすらと目を開けた。

「っ、兄上!私の事が分かりますかっ?兄上!」

顔を覗き込み、咄嗟にそう問いただしていた自分にハッとする。そこで私は、自分がどれ程兄上を慕っているのか気付いたのだ。
今の状況が脳の手術後、「誰?」と言われてショックだったあの時と被る……。
私は兄上に、また忘れられてしまう事が嫌だったのだ。


「っ……、ア……ラン?」

だから、名前を呼んでもらえて嬉しかった。
生きていてくれて嬉しかった。

ーーダメだ。もう誤魔化す事は出来ない。
もう認めなくてはいけない。
苦しいのに暖かい、自分の胸に感じるこの想いを……。

私は、兄上が大好きなのだーー。

そう自覚したこの時、ずっと自分を縛っていたシャルマ様の呪縛から抜け出す術を、私は手に入れていた。
そして……。
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