夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「お前に、頼みたい事がある」
「……」
「お前にしか、頼めない事なんだ」
「っ……」
ズルいーー。
彼の真剣な眼差しに見つめられて、NOと言える訳がなかった。
「……何よ?」
「!……ありがとう」
わたくしが再び椅子に座ると、ヴァロンはホッとしたように嬉しそうに微笑った。
その笑顔にでさえもキュンッとしてしまうわたくしに、彼はベッドの脇にある棚の中から一冊の本と四角い箱を渡しに差し出す。
「?……これは?」
「俺に何かあったらさ、コレを頼む」
「!……えっ?」
「な?預かっててくれ」
「ちょっ、ちょっと待ってよッ……!」
まさか、遺書と遺品?!
脳の手術とは聞いていたが、死を覚悟する程相当危険な手術なのか?と、ヴァロンの言葉にわたくしは動揺を隠せなかった。
そんなわたくしを見て、察した彼はまた微笑う。
「ははっ、違う違う!別に遺品とかじゃねぇよ」
「だ、だって……!」
このタイミングでこんな物を渡されたら誰だって死を覚悟している者の遺品と勘違いするであろう。
けど、ヴァロンはこう言ったの。