夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「むしろ、絶対に死なないから。だから、預かってて欲しいんだ」
手術をしている最中。
そして、自分が目を覚ますまでの間、預かっていて欲しい……と。
シャルマ様やその関係者に見付かってしまえば、間違いなく処分されてしまうから……。だから、身内ではなく、信頼出来るわたくしにお願いしたい、って……。
「……分かったわ」
「!……助かる。本当にありがとう」
引き受けてあげたら、本当に嬉しそうに子供みたいに微笑ってくれて……。その笑顔が、すごくリオン様と被って見えた。
わたくしがずっと、リオン様にさせてあげたかった笑顔。
それをヴァロンにしてあげられた事が、わたくしの中でまたとても大きな想いに変わってしまった。
だから、欲が出た。
「これ、なに?」
「ん?」
「中身くらい、聞いても良いでしょう?」
人の事や物を詮索するなんて、仕事以外では初めてだった。
知りたいと思った。彼の全てを……。
ヴァロンはそんなわたくしを見て、優しく微笑うと箱をベッドの上に置いて手に持った本の表紙を見せた。