夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

ミネアさんに差し出された品物を見て、思うのではなく感じた。
覚えていないけど、知っていた。

これは、"俺の物"だとーー。

ずっとずっと探していた気がした。
だから、まるで惹きつけられるかのように……。躊躇する事なく、本と箱を受け取ると、ようやく自分の手の中に戻ってきたそれをじっと見つめる。


本は、父さんが書いた本。
これには、まるで俺の人生を父さんが分かっていたかのように主人公ヴァロンがよく似た人生を歩んでいた。
けれど、愛おしい女性(ひと)、大切な家族と仲間、自分の居場所から引き離された主人公の最後の結末は書かれていなくて……。
それは、"未来は自分の手で(えが)け"と、言われているように感じた。


ーーでは、その未来とは?
記憶を失って、自分の道標も失くしてしまっていた僕。そんな(マオ)を導いてくれるのは、他の誰でもない(ヴァロン)からのメッセージだった。


本を棚に置くと、手中に残った箱の蓋をゆっくりと開ける。
そこに入っていたのは、ターコイズのブレスレットと一枚の写真。
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