夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
『ヴァロンに、作ったの。貰ってくれる?』
ブレスレットを瞳に映した瞬間。
愛おしい声が、聴こえた。
『ターコイズの石はね、ネガティブなエネルギーを払いのけて、困難を乗り越えて願望を達成するためのサポートをしてくれるんだって』
『ヴァロン、最近何かに悩んでるみたいだったから……。心配、だったの』
知ってる。
それは、このブレスレットを貰った時の言葉だ。
"ヴァロン"と、愛おしい声が俺の本当の名前を呼んでくれる。
『……ちょっと、可愛すぎるかな?
あ、恥ずかしかったら……付けなくていいから』
恥ずかしそうに、モジモジしながら、俺の手首にブレスレットをはめてくれた。
その女性は、誰よりも俺が産まれてきた事を喜んでくれた。
誰よりも俺を愛してくれて、支えてくれて、信じてくれた。
誰よりも俺の心に寄り添ってくれて、いつも1番傍に居てくれた。
その女性は間違いなく、写真の中で赤ん坊を抱いて俺と映る君。
「っ……アカ、リ」
思わずその名を呼んでいた。
ブレスレットと共に入っていた一枚の写真。
そこに映っていたのは、自分と、愛おしい娘を抱いたこの世で1番大切な女性だった。