夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

『も、もうっ!
いきなり撮るから、絶対に変な顔してるよ~』

久々に再会出来てやっと訪れた家族の団欒。俺がいきなり写真撮ったら、そう怒ったっけ。
すぐ拗ねて、恥ずかしがって、泣き虫で……。でも、いつも俺に最高の笑顔をくれる。

「ヒナ……タ、ッ」

妻にそっくりな愛娘の名前。
愛おしい妻との間に産まれてきてくれた、大切な宝物。
ベビーベッドを覗き込むと、小さな手をいっぱいに伸ばして抱っこをせがんできて……。その姿を見たら、いつも仕事疲れなんて吹き飛んだ。
掴まり立ちをし始めたら、"危ない"って慌てて抱き抱える俺を見て、楽しそうに微笑ってた。


そんな、幸せな想い出が次々と……。まるで映像のように失っていた記憶が浮かんでくる。

ーー帰りたいッ!!
今すぐに、あの場所に戻りたいっ!!

痛い位に高鳴る鼓動。
心が悲鳴のような叫び声を上げて、俺に訴えていた。

「……っ!!」

でも、そう思うと同時にもう一つの想いが浮かぶ。

記憶を失くして何年も経ち、自分は家族にどれだけ悲しくて辛い想いをさせたのだろう?
そればかりか、幼い子供をたった一人で育ててくれた彼女と再会していながら、俺は……。

『アカリさんの気持ちには応えられません。
本当にごめんなさい』

……何度も何度も彼女を傷付けたあげく、自ら別れを告げたじゃないか。
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