夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「っ?……アラン様、今……なんと?」
それはちょうど、私がアカリ様から前の旦那様との話を聞いた時期と同じ頃だった。
呼び出された私は、その話の内容にこれまでアラン様に感じてきた恐怖感を忘れて、思わずそう聞き返してしまう。
すぐに"いけない!"と、ハッと口元を押さえ様子を伺うが、アラン様は私に対する態度がこれまでと全く変わっていた。
以前ならば「聞こえなかったのか?」「一度で覚えろ」と、威圧感の込もった言葉と態度で迫られたのに……。
「何事に対しても、アカリ様の意見や意志を尊重してやってほしい。
例えそれが、私に対して良くない事であっても、だ」
私の聞き返しに応じて下さったばかりか、そのお声からはとても優しさを感じる。
アラン様のお言葉と、このお方を取り巻く優しい雰囲気が、今言われた事が私の解釈違いでない事を告げていた。
"私にアカリ様の味方をしろ"と。ご自分への忠誠よりも、"アカリ様の意志の通りに動け"と言っているのだ。