夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
私と母を不幸にする魔女を狩らなくてはーー。
だから、殺してやった。
アンナの目の前で、父を殺してやった。
希血でありながらたいした能力を持たなかった父の命を奪うのは、実に簡単だった。
悲しみに暮れる母を守りたい想いと、口惜しい日々の中で、私の中に生まれた能力ーspellbind。
その能力で本邸に住む者や、父の周りの者を強制的に従えさせて、私は逃げ場を無くした父を自らの手を直接汚す事なく事故に見せかけて討った。
そして、父の死を目の当たりにして放心状態になったアンナを娼婦の館へ売り飛ばし、欲に飢えた男達の慰み者にしてやった。
……
…………。
そして、月日は流れーー。
周りからサポートを受けながら父の後を継いだ私は、許嫁だった女性と16歳で結婚し、翌年には息子が産まれた。
母はあの後、父の後を追うようにすぐ亡くなった。母の幸せの為に事を起こしたのに、結局母が私よりも必要としていたのは父だった。という事だろう。
それを目の当たりにして、私はとても虚しくなって、早く自分の家庭が欲しかった。