夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

私は父と母のようにはなったりしない。
妻だけを愛し、家族を大切にするのだ。

仕事を熟し、家族に尽くし、夫として父として出来る限りの事をしていた。

……けれど。
ある日私は見てしまった。たまたま出張が早く終わり帰宅した際、妻が私の仕事仲間と親しくしている所を……。


『天使の血を持つ者は、(まこと)に愛した者とは決して結ばれないーー』

どうやらその呪いは、天使の血を持つ私が努力しても変わる事はないらしい。
許嫁として決められた時から、ずっと女として私が見ていたのは妻だけ。身体の関係を持ったのも、結婚前も結婚後も妻だけなのに……。

私は、お前だけを大切にしていたのにーー!!

この瞬間、私はもう誰かの為に生きる事はやめた。
信じられるのは自分だけ。自分の為だけに生きよう。
逆らう者は、能力(ちから)でねじ伏せてしまえばいい。

私の中に再び生まれたドス黒い感情。
しかし、そんな私の事をたった1人。たった1人でいいから、理解し、側にいて欲しいと思った人物が居た。

それは、血を分けた実の息子のリオン。
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