夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
3月3日。
結婚式場、親族控室ーシャルマの部屋ー。
「……一緒に、逝きましょう。
私が貴方にお供します。だからっ……もう、いいでしょう?」
何故そう言ってしまったのか、一瞬分からなかった。
だって、ここに来るまではシャルマ様の計画を阻止する事以外、私は何も考えていなかったのだから……。
シャルマ様の側には、我々一族に仕える中で1番の執事ディアスが居る。
奴は頭がキレるのは勿論、体術や護身術も歴代の執事の中でダントツだ。しかも、シャルマ様の能力spellbindで縛られているから、私の言葉など聞く耳を持たないであろう。
そんな状況下の中でディアスと戦闘になったら、間違いなく私が不利。
だから、余計な事などは考えていられなかった。
後の事など考えず、それくらい集中しなくてはシャルマ様とディアスの組み合わせには敵わないと思っていた。
『アカリ様を殺せ』
シャルマ様の性格を知った上で予想していた、兄上を苦しめる為にアカリ様の命を狙うであろうという読みが当たった以上、ますます余計な考えや感情は無視しなければ。と、思った。
それなのに……。