夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
そうすれば、シオンとも……。息子と一緒に、普通に暮らす事が出来る。
こんな風貌だからずっと"父"だと偽り、理由を理解してくれた優しい院長先生の小さな孤児院に預けて、これまで育てて来た。
それは三度目の妊娠、三十代最後の年に身籠った命。
一度目の妊娠は、シャルマ様の女としての勤めをするようになって1年程過ぎた頃だった。
二度目は、二十代半ば頃だっただろうか……。
一度目に僅かな希望を抱き、父親であるシャルマ様に懐妊を告げたが……、……。
『……そうか。コレでなんとかしろ』
ーーーそれで始末しろーーー
札束を投げながらそう言われた時、私には永遠に訪れない"幸せ"だと思った。
だから二度目はもう告げる事もなく、誰に知られる事もなく始末した。
けれど……。
『ディアス?……もしかして、妊娠してる?』
それは二人目の子供を諦めた際。医師からもう妊娠は難しいと診断されていたから、油断していた三度目の妊娠。
今までない体調不良から、1番知られたくないあの方に……。リオン様に悟られてしまった。