夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
誤魔化しなんてリオン様相手に通じる訳もなく、言葉を詰まらせる私。
でも、そんな私にリオン様は微笑った。
『そうなんだね?お腹に、赤ちゃんがいるんだねっ?
……あ!それなら無理したら駄目だよ。荷物は僕が持つから』
何故貴方が、そんなに嬉しそうなのですかーー?
そう問いただしたくなる程に、喜んで、気遣って下さった。その様子を見て、思わずにはいられない。
何故この方が、お腹の子の父親ではないのだろうーー?
叶わない想いと、願い。
妊娠を知られた動揺と情緒不安定な体調から、この時私は初めてリオン様に反抗的な態度をとってしまった。
どうせ産めない命だと諦め、大丈夫だと意地を張り、強引にリオン様からお荷物を奪おうとした時……。
『ーーー危ないッ、ディアス!!』
クラッと目眩がした瞬間、私とリオン様が居たのは階段の上。
踏み外して落ちそうな私をリオン様が庇って下さり、大事には至らなかったが怪我をされた。