夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
君主が家臣を護って怪我をするなど、決してあってはならない事。
……けど、……リオン様はまた微笑った。
『ディアスはっ?!何ともないッ……?!
……っ、よかった……。ディアスと赤ちゃんが無事で、良かったよ!』
リオン様の優しい心と笑顔に解かされて、涙と一緒に束の間だけ"ディアス"の仮面が外れた。
階段から落ちかけた瞬間、咄嗟にお腹の子供を庇おうとしていた女の自分。今無事で、安堵している自分に気付いてしまった。
本当は、産みたいーーー!!
ずっと言葉に出来なかった想いが溢れ出して涙を流す私に、リオン様は優しく頭を撫でて言って下さった。
『ディアス、産んで?これは、僕からの命令!』
それは素直になれない私の為に、リオン様が私に告げた生涯で一度きりの"命令"だった。
……
…………そして私は、リオン様の計らいで用意して頂いた家で息子を産んだ。
リオン様のお側ならばspellbindに縛られる事もなく、シャルマ様の目を盗んで子供を育てる事が出来た。