夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
***
ナイフを手に振り返って、伏し目がちに悲しそうな表情を浮かべていたシャルマ様が目に入った瞬間。私だけが知ったいるこの方の姿を、鮮明に思い出してしまった。
普段の態度や口調からは想像も出来ない程、夜を共にする時間だけは優しく、そして弱い方だった。
身体を重ねる時は手を握ったり、大きな腕で包むように抱き締めて下さり……。事が終わると、私の頭を優しく撫でたり、長い黒髪を指に絡ませるようにしながら口付けて……。一緒に眠る時は、決して朝まで離して下さらなかった。
『傍に、居てくれ……』
いつだったか一度だけ、そう、私に寝言を溢した。
その言葉は、私に対してではないかも知れない。
この方と私の関係に、愛などあり得ない。
けれど、どんな経由であれ、形であれ、私を女として扱ってくれたのは……他の誰でもない、シャルマ様だったのだから。
この方が居なかったら、私は男性に抱かれる温もりを知らなかったであろう。
子を身籠る事も、産みたいなどと思う事もなかっただろう。
「!!っーー……ガ、ハッ……、……」
ーーだから。
私には、心の奥底からこの方を恨む事など……出来なかった。
それに、…………。
ナイフを手に振り返って、伏し目がちに悲しそうな表情を浮かべていたシャルマ様が目に入った瞬間。私だけが知ったいるこの方の姿を、鮮明に思い出してしまった。
普段の態度や口調からは想像も出来ない程、夜を共にする時間だけは優しく、そして弱い方だった。
身体を重ねる時は手を握ったり、大きな腕で包むように抱き締めて下さり……。事が終わると、私の頭を優しく撫でたり、長い黒髪を指に絡ませるようにしながら口付けて……。一緒に眠る時は、決して朝まで離して下さらなかった。
『傍に、居てくれ……』
いつだったか一度だけ、そう、私に寝言を溢した。
その言葉は、私に対してではないかも知れない。
この方と私の関係に、愛などあり得ない。
けれど、どんな経由であれ、形であれ、私を女として扱ってくれたのは……他の誰でもない、シャルマ様だったのだから。
この方が居なかったら、私は男性に抱かれる温もりを知らなかったであろう。
子を身籠る事も、産みたいなどと思う事もなかっただろう。
「!!っーー……ガ、ハッ……、……」
ーーだから。
私には、心の奥底からこの方を恨む事など……出来なかった。
それに、…………。