夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

ダアァーーーンッ……!!!!!

……
…………。

部屋に発砲の音が響いて、オレの手から拳銃が滑り落ちてガシャンッと床に転がる。
その直後に、無数に散ったキラキラとした玉が床に弾みながら落ちた。キラキラした玉の正体は、ビーズ。

震えるオレの瞳に映るのは、頬にかすり傷を作り、さっきまで横に結えていた髪が解け黒髪をサラリと垂らす容姿のアンナ。
オレの放った銃弾は、アンナの顔横付近にあった髪留めを掠めていたのだ。

……。
……生きて、いる?

ディアスが「アンナ様!大丈夫ですかっ?」と駆け寄る中、オレは自分の心の中でそう問い掛けていた。
そして、「大丈夫よ」と答えるアンナを見て、頬の傷を自分の指で拭い、その動いている姿を見て……思ってしまった。

良かった、とーー。

けれど。
安堵の息を吐いた直後に、今度はそう感じてしまった自分が赦せなくて、母に申し訳なくて……。

「っ……、ぅ……あ、あっ……うあぁぁああーーーッ!!!!!」

オレは涙を流しながら絶叫し、膝から崩れ落ちて床に着いた。
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