夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
そんな私に、リオは暫く何も答えなかった。
そして、ようやく一言「ごめん」って呟くと、私に口付けて……。私に、睡眠薬を飲ませた。
……
……、……。
その夢の中で、忘れていた過去を見た。
優しくて、大好きだった父と母。
けれど、父には別の家庭があって、私には腹違いの兄いた。
お母さんは身体が弱くて、もうずっとひとりっ子だと思っていたから、私は兄が居ると知って単純に嬉しかった。
ーーでも。
兄やその母親からしたら、私とお母さんは邪魔な存在。
兄が出来る、家族が増える……。そんな、単純に喜んでいいものではなかった。
『お前がいけないんだよ、魔女。お前が居たから、父さんは死んだんだ』
ある日、突然冷たく動かなくなってしまったお父さんを前にして、お兄ちゃんが言った。
……そう、だった。
目の前で最愛の父を亡くしたショックで、私の心は現実逃避をして……。記憶を失ったのだ。
夢の中を通して蘇る記憶。
そして、思い出した事によって新たに生まれた衝撃の事実。