夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
(2)アンナside
幼い頃の自分を、思い出した。
私だって小さな頃は、両親が生き甲斐だった。誰だって、きっとそう。
それなのに私は、我が子を疑った。
リオが自分の元から去ってしまったように、いつかこの子も私の前から居なくなるだろう、と……。
でも、一緒に生活している日々と、何より私の能力で分かった。
ヴァロンは本当に、こんな母親なのに私を慕ってずっと共に在りたいと願っている。私が元気に、笑顔になる為ならば何だってするつもりだ。
……そして、未来が見えた。
今は純粋なヴァロンの想いが、その美しさ故に自らを滅ぼしていく様を……。
綺麗なこの子が、このままだと私のせいで悪魔のようになってしまう未来を……。
私とリオ、2人から二重に天使の血を受け継いでいるヴァロンの能力は更に計り知れない。いつか目覚めるであろう一族の能力を使って、この子は兄以上の支配者になってしまう。
だから、離さなきゃ。
この子が私に失望する程に酷い事をして、この執着心を削いで、自らの為に生きられるようにしてあげなきゃ。