夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

ヴァロンの前世の恋の相手は、黒髪に黒い瞳の可愛い女の子。

……ダメよ?容姿が似てるからと言って、私とその子を勘違いしちゃ。
ヴァロン。
貴方は生きて、今度こそその子と幸せになりなさい。

「……生きなさい、ヴァロン」

希血でもまだ幼く、能力(ちから)が目覚めていない今ならば……。更に心を傷付けて精神を弱らせれば、私の能力(ちから)は少なからずとこの子に効く筈。
そう思って私は、ヴァロンに私やリオと過ごした刻を忘れる暗示をかけた。

……
…………。

それから、私もすぐにリオとヴァロンとの想い出が詰まったあの家を後にした。
一箇所に長く留まれば年老いていかない私を不審に思う人がいるかも知れないと、住処は持たず、色んな場所を転々としたわ。

良かった事二つ目。
この能力(ちから)を使って、私は占い師を始めた。
こんな私だけど、未来を見透せるこの能力(ちから)で、迷っている人、悩んでいる人に助言をして、少しでも苦しくない道をすすめてあげる事が出来た。
もうどんなに生活に困っても、身体を売ったり、男性に媚びたりしない。どんなに離れていても、もう会う事が出来なくても、私が愛する男性(ひと)はリオたった一人。
真実の愛を知って、私の心はいつも暖かかった。
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