夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

『月姫の祈り』
絵本も読んだし、舞台も観に行ったわ。
その、私しか知らないと思っていたヴァロンの前世を描いた作品を見て、すぐに作者はリオだと分かった。
そして確信した。

リオも、ヴァロンが運命の女の子に再び巡り逢えるように願っているのだ、と……。

私達は、離れていても息子(ヴァロン)への想いで繋がっていた。
不思議と、傍にいたあの頃よりも強い絆で結ばれているような気持ちになった。


私とリオの想いに応えてくれるかのように、ヴァロンは立派に成長していった。
幼い頃に抱いた将来の夢を実現させて、夢の配達人という、人の夢を叶えるとても素敵な職業に就いた。
色んな国や町で、ヴァロンの評判を聞いて嬉しかったわ。新聞や雑誌も、ヴァロンの事が載っているものは必ず読んだ。
時には辛く悲しい日々もあっただろうに……。あの子は必死に乗り越えて、"伝説の夢の配達人"と呼ばれるようになった。

絶対にリオもその名声を聞いて喜んでいたに違いない。
『すごい!ヴァロンは天才だな!』って、一緒に暮らしていたあの時のように……。
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