夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

悪い結果ばかりしか浮かばない時、つまり精神的に弱っている時には明るい未来を見出す事が出来なくなる。
ヴァロンは頭が良くて、何より優しい。その優しさ故に、大切な人を巻き込みたくない、と……。自分が全てを背負い、独りになる人生(みち)を選ぶ事だろう。


ーーダメよ!そんな事ッ……!!
せっかく運命の女性(その子)に逢えたのだから、諦めたりしないでっ?!

そう心の中で叫びながらも……。私はその時、占いの館を去って行くヴァロンの背中を黙って見送る事しか出来なかった。


けれど、その後もずっと思わずにはいられなかった。
"私がヴァロンの為に出来る事は、何かないのだろうか?"……と。

魔女。
希血(天使の血)を持つ者は、漆黒の容姿を受け継がない。
その法則が破られた時、その者は更なる能力(ちから)を発揮するであろうーーー。

そう呼ばれるだけの、そう言い伝えられるだけの能力(ちから)がもし私に本当に宿っているのならば……。私は息子(ヴァロン)の為に、何でもしてやりたいと思った。
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