夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

(3)アンナside


リオがすでに亡くなっている事は、"知っていた"と言うより"感じて"いた。
仮にまだ生きていたとしても、もう二度と会えない事は何となく分かっていたし、会えたとしても私達が今世この世で結ばれる事はなかっただろう。

だからこそ、余計に強く思った。
亡くなったリオの分まで、ヴァロンを護ってやりたい、と……。
そしてそれが、ヴァロンが幼い頃に何一つ優しくしてあげられなかった私が出来る、唯一の償いになるに違いない。

護ってやりたいーー。
その一心の想いが、紙一重で悪しき想いに変わる事もある。


一晩中考え抜いた末。
我が子(ヴァロン)の為ならばきっと他の者を犠牲する事に全く罪悪感など持たず、我が道を進もうとしていた私だった。
自分の心の中に芽生えかけていたドス黒い闇に気付く事もなく……。

けれど。
そんな私がこの日変わらずにいられたのは……、……。
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