夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
ヴァロンが占いにやって来た翌日の夕方。
!?ッーー……え?
「これ、いっぱい採れたからお裾分け!」
突然の訪問に驚いた。
そう言って私にビニール袋に入った芋を差し出したのは、昨日とは違って素の白金色の髪と瞳の容姿をしたヴァロンだった。服装も昨日のビシッとしたスーツ姿とは全然違って、本当にラフな……。
いや、違う。
1番何よりも違うのは、ヴァロンの雰囲気と表情だった。
清々しくて、キラキラしていて、生き生きとしていて……。昨日占いの直後に見せた、暗くて険しいものが全く無くなっていたのだ。
何故ーー?
そう疑問を抱きながら芋の入ったビニール袋を受け取る私に、ヴァロンが言葉を続ける。
「……昨日は、ありがとう」
「!……え?」
「あんた、昨日アカリに……。妻に、占いの結果の良い部分しか言わなかっただろ?」
「……」
「そのおかげで、この旅行中あいつの笑顔たくさん見られた」
「……」
「あいつ、心配性だからさ。あんたがもし、少しでも不安を与えるような事を口にしてたら……ずっと泣いてたと思うんだよね。
……だから、ありがとう!」
"それ"は、きっとヴァロンからしたらただのお礼。
けれど私にとっては、胸が締め付けられる程に嬉しい息子からの贈り物だった。