夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
本当に大きくなって、幼いあの頃よりも更に優しく強くなっていた。
その姿を見て、同時に自分はなんて愚かで恐ろしい事を考えていたのだろう?と後悔する。
息子の為なら何でもしてやるーー?
そんな事、この子は何一つ望んじゃいない。
親の力なんて借りずに、しっかり自分で自分の人生を踏み締めて進もうとしていた。
眩しい我が子の姿に目が覚めて、私の中に芽生えかけていたドス黒い闇が消える。
「……わせ、なのね」
「ん?」
「……。幸せなのね?」
必要以上に声を掛けるつもりなんてなかったのに、思わずそう尋ねてしまった。すると……。
「ああ!めっちゃくちゃ、幸せ!」
昔私に見せてくれた笑顔なんて比にならない程の眩しい笑顔で、ヴァロンは微笑った。
その笑顔を見て、この子の中の"1番"がもう自分ではない事を悟り、正直ショックが大きかった。……けど、……。
「ヴァローン!」
私がヴァロンの頬に付いた泥を見付けた瞬間、少し離れた場所からこの子の運命の相手が名前を呼んだ。