夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

その声に私が伸ばしかけた手を止めると、愛おしい女性の方を振り向いたヴァロンはさっきよりいっそう幸せそうに微笑って……。

「んじゃ、さよなら!」

軽く手を振って、私にそう言うと一直線に自分の人生(みち)に戻って行った。


……ヴァロン(あの子)頬の泥(汚れ)を拭いていいのは、もう私ではない。
あの子は見つけたのだ。共に人生を乗り越えて行く人達を、……。

愛おしい女性と、幸せそうに微笑み合いながら去って行く背中を見つめながら実感した。
そして気付いた。今の自分が、本当にやるべき事。


誰かの為ではなく、自分自身の為に……。
自分自身の事に決着をつけよう、とーーー。

そう決意して結び着いた先。
それは、解り合う事の出来なかった兄妹の関係に終止符を打つ事。
……そして、全ての元凶を消す事。

……
…………。
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