夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
***
3月3日。
結婚式場、親族控室ーーー。
「全てを、終わらせる……?」
私の言葉に、"まさか"と察したような……。けれど、信じられない、信じたくないという想いの込もった問い掛けをアランが呟いた。
本当に、実の息子のように優しい子。
「っ、……ダメだッ」
「……」
「許さんっ……許さんぞ!
このまま兄上に会わずに去る事なんぞ、許さんッ……!」
リオに良く似た声で叱りながら、アランが私の腕を掴んで訴えて掛けてくる。
……嫌ね。
そんな声で叱られたら、気持ちが揺らいでしまいそうになるじゃない。
もう一度聴きたいと思っていた男性と良く似た声で、そんな事言わないで?
嬉しさと切なさが入り混ざって、涙が出そうになった。
何も答えず顔を合わそうとしない私に、アランが更に声を上げる。
「何故、っ……貴様達親はそう勝手なんだッ!ある日自分の都合で突然消えてッ……子供達を悲しませるんだッ!!」
感情の昂りと腕を掴まれた事によって、触れ合った部分から分かる。
アランは私の"本当の素性"を知らない。自分の母親と父親を取り合った、ただの恋敵だと思っている。
3月3日。
結婚式場、親族控室ーーー。
「全てを、終わらせる……?」
私の言葉に、"まさか"と察したような……。けれど、信じられない、信じたくないという想いの込もった問い掛けをアランが呟いた。
本当に、実の息子のように優しい子。
「っ、……ダメだッ」
「……」
「許さんっ……許さんぞ!
このまま兄上に会わずに去る事なんぞ、許さんッ……!」
リオに良く似た声で叱りながら、アランが私の腕を掴んで訴えて掛けてくる。
……嫌ね。
そんな声で叱られたら、気持ちが揺らいでしまいそうになるじゃない。
もう一度聴きたいと思っていた男性と良く似た声で、そんな事言わないで?
嬉しさと切なさが入り混ざって、涙が出そうになった。
何も答えず顔を合わそうとしない私に、アランが更に声を上げる。
「何故、っ……貴様達親はそう勝手なんだッ!ある日自分の都合で突然消えてッ……子供達を悲しませるんだッ!!」
感情の昂りと腕を掴まれた事によって、触れ合った部分から分かる。
アランは私の"本当の素性"を知らない。自分の母親と父親を取り合った、ただの恋敵だと思っている。