夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「ロージャ、みてみて〜いぬしゃんかいた!」

「まあ!
ヒカル様、とてもお上手ですわね」

アルバート様がアカリ様とアラン様と大切なお話をなさっている間、私は別室でヒナタ様とヒカル様の遊び相手をしていた。

しかし。
無邪気なヒカル様とは正反対に、ヒナタ様は口数も少なく大人しい。以前お会いした時は、周りが手を焼く程のおてんばぶりだったというのに……。

「ヒナタ様?
ヒナタ様は何をお描きになられたのですか?」

私は離れた机の隅でお絵描きをしているヒナタ様に歩み寄ると、その横に座り絵を覗き込んだ。
そこに描かれていたのは……。

「……ヴァロン」

4歳児が描いたまだまだ、とも言える画力ではある。が、その絵を見て、私はすぐに何が描かれているのか分かった。
きっとアカリ様に見せて頂いた写真をモデルに描いたのであろう。黒いスーツに赤いネクタイ、何より金色の色鉛筆で薄く塗られた髪と目がその人物をとてもよく表していた。
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