夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「おかえりなさい。
私の所に帰って来てくれて……ありがとう!」

「っーー……、待てよ。それ、ッ……ずりぃ」

俺の欲しい言葉を、容赦なく浴びせてくる彼女。
本当に、幸せを貰うのはいつだって俺の方だ。……でも、…………。

「ーーきゃっ!」

貰いっぱなしじゃいけない。と、俺は彼女をひょいっとお姫様抱っこすると、ギュッと抱き寄せて囁いた。

「……ただいま」

「……っ、……」

「っ……やっと、逢えたな」

「うん、っ……」

「もう、離さねぇ……ッ」

「っ……離さないで」

言葉を交わす度に涙声になっていく彼女と視線が合わさると、自然と引かれ合うように唇と唇が重なる。

気持ちを読まなくたって分かる。
今俺と彼女は同じ幸せを感じているのだ、と……。

その証拠に、唇を離して間近で瞳が重なれば、久々のキスに互いが少し照れて、よく似た表情で微笑み合える。


「……ところで、何なの?その格好」

「!っ……」

「今度はアカリが使用人として、俺に仕えてくれるの?」

「っ〜〜……こ、これは!色々あったの!
ヴァロンだって、"マオさん"のままじゃない」

「!っ……あ、忘れてたわ」

メイド姿に変装したままの姿。互いに指摘し合って笑った。
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