夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「とても、お上手ですね」
私が思わず声を漏らすと、ヒナタ様は金色の色鉛筆を握り締めたまま尋ねてくる。
「ローザ。
ローザは、パパにあったことある?」
「ええ、ございますよ」
そう答えると一瞬で表情がパァっと明るくなったヒナタ様は、先程までの大人しさが嘘のように私に質問攻め。
「パパ、どんなひと?」
「え?」
「かっこいい?やさしい?」
「っ……え、っと……そうですわね」
純粋な質問に、私は戸惑った。
かっこいい?優しい?
確かに整った顔立ちで長身で、世間一般的にはあれをかっこいいと言うのでしょうね。
しかし、私の好みではないし……。
優しい、も私はヴァロンに自分個人に優しくしてもらった事があったかしら……。
ヒナタ様のキラキラとした瞳に応えようと必死に思い返したが、私は堅物とよく言われる通りこの手の嘘が苦手だった。
だが、ここはヒナタ様に合わせて「かっこいいですよ」「優しいですよ」と答えるべきなのだろうか?
……そうよね。
子供がしてくる質問を否定で返して、夢を壊してはいけないわ!
暫く考えそう思った私は、当たり障りのないよう答えようと思った。