夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
【アカリside】

1年後の3月3日ーーー。
ここは、祖父アルバート様の別荘。私の部屋。


「……はい。出来ましたよ、アカリ様」

ローザの声に閉じていた目をそっと開けると、正面にあった全身鏡が椅子に座っている私の"今の姿"を映し出す。

「!っ、わぁ〜〜……!!」

その姿を見て、自分の姿ながら驚き感動せずにはいられなかった。
その姿とは、白無垢に身を包み、婚礼の為に美しく仕上げられた花嫁姿の私だ。

白無垢、ずっと着てみたいとは思っていたが憧れすぎて……。自分には、手に届かない物のように感じていた。
でも、「どうしても着て欲しい」って、いつの間にか自分でデザインしてオーダーメイドしていたヴァロンに手渡されて……。すごく嬉しくて、"ヴァロンが私の為に用意してくれたなら間違いない"って思って、今日、袖を通す事に決めた。

……けど。
まさか、ここまで似合うなんて……。


「とってもお綺麗です。アカリ様は和装もよくお似合いですね」

ポ〜ッとしていると、ローザと一緒に支度を手伝ってくれたスズカが側でニコニコと微笑みながら声を掛けてくれる。
その言葉にハッとした。自分で自分に見惚れていた、という状況に恥ずかしくなり、私は上手く誤魔化そうと口を開く。……しかし。

「っ〜〜、あ、ありがとう。
で、でも!きっと、それはヴァロンが私に似合うようにデザインしてくれたからだよっ……!」

「アカリ様。それ、惚気にしか聞こえませんよ?
……ねえ?スズカさん」

照れ隠しに言った私の一言は余計だった。
惚気にしか聞こえない、という鋭いローザの指摘にスズカがクスクスと笑って、私は更に真っ赤。


そんな、朝から幸せに包まれた今日は私の25歳の誕生日。
そして、私とヴァロンの結婚式だ。

【明けましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いします!(o^^o)】
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