夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
今日アカリ様がアラン様を連れてこちらにこられた状況を見れば、何の話をしているのか大体検討もつく。
真面目に答えて、ヒナタ様に実の父親の事を深く思い出させてしまう事は、アカリ様の決断の妨げになるのでは?……とも思ったのだ。
けれど、次のヒナタ様の質問が私の考えを変える。
「パパは、ママのこときらいなのかな?」
「!……え?」
あれこれ考えている間に、いつの間にかまた表情を曇らせていたヒナタ様がポツリと呟くように言った。
「だから、かえってきて……くれないのかな?」
「っ……ヒナタ様!それは違いますっ」
私は咄嗟に、そう答えていた。
かっこいいとか、優しいとかは正直分からないがそれだけはハッキリと言えたから……。
今の現状、ヒナタ様に言うべき言葉ではないのかも知れない。でも……。
「お父様は、お母様の事を……それはそれは、とてもお綺麗な瞳で見つめるんですよ?」
それだけは、誤魔化せなかった。
夢を壊さない為ではなく、真剣に、真実を……。
上手く伝わるかは分からないが、私はヒナタ様に話す事にした。
自分が見てきたヴァロンを、ゆっくりと思い出しながら……。